2013年6月10日月曜日

LV-1.0 (7) アナログ入力基板

LV-1.0は発売時の仕様ではアナログ入力機能が省かれていました。
トラ技での特集でもたしか無かったかと思います。

マイコンやリモコンにはこの機能を見越してあらかじめ機能実装されており、マイコンから制御信号が出ています。
この制御信号でアナログ入力切替機能を実現すればいいわけです。

まず標準状態のLV-1.0のブロック図はこんな感じです。
アナログ入力基板は上記ブロック図のDACと電子VRの間に入ります。

アナログ入力基板は LV1-AIOM-KIT として既に販売されています。
アナログスイッチとオペアンプで構成されたシンプルな切替回路です。電源は±12Vですが基板上で±5Vに落とされています。
オペアンプとアナログスイッチが挿入されるので少なからず音質は劣化します。
音質の違いが聞いて分かるかどうかは別として気分的にいい気しません。
普通にLV1-AIOM-KITを実装してもツマラナイので改善案を考えてみました。

切替そのものにはアナログスイッチを使っています。
アナログスイッチの欠点はON抵抗がそれなりにあるということです。LV1-AIOM-KITではHCT4053が使われており、常温状態で40~120Ωの直列抵抗を持ちます。
抵抗成分は音質的にはよろしくなくノイズ源になります。スイッチなのですからできるだけ0Ωであることが望ましい。
ということでいろいろ調べてみるとADG333Aというのが良さそうです。ON抵抗は20~45Ωとかなり小さく電源電圧も±12Vがそのまま入ります。
入手も特に問題無く、なんとamazonでICが買えます(笑) 送料掛かっちゃいますがラクチンです。
ワンクリックでICが買える時代です。なんとも感慨深い・・・どことなくありがたみが薄いですが。

音質劣化を出来るだけ避けるのであれば切替はメカリレーという手もあります。
但しメカリレーはある程度直流が流れていないとON/OFF接点が劣化してきて長期的に故障の可能性があります。ガス封入型(アンバー)などを使えばある程度改善出来ますが、何かこう原始的な感じがするのでアナログスイッチで行きましょう。

あとはマイコン基板とのI/F部分です。
というのもマイコンは5V系の電源で音声は±12V系の電源です。GNDは共通とはいえ、ここで繋いでしまうと大きなGNDループを形成してしまうことになりハムノイズの影響が懸念されます。
なので制御をマイコン系とアイソレートするためにフォトMOSTリレーを使います。
フォトMOSリレーなら駆動電流がとても少なくて済むのでマイコンから直接ドライブ出来ます。
入手性からAQV224Nを使いました(単にデジットですぐ買えたものがコレなだけですが)
ON電流が0.9~3mAなので1kΩの抵抗を直列に入れておきます。

スイッチ系はこれでOKであとは入力部のバッファです。回路自体は単なるボルテージフォロワで、アナログスイッチへのインピーダンスを高くするために付いています。
外部入力はどんな機器を繋ぐか分からないのであるべきでしょう。カップリングコンデンサも外すべきではないと思います。
内蔵DAC側はDACのLPFの出力が十分インピーダンス高いので特にバッファは必要なく、そのままアナログスイッチに直結しても構いません。カップリングコンデンサもDCが出てないので特に不要でしょう。

以上からこんな感じで回路変更をしてみました。
1.アナログスイッチをHCT4053からADG333Aに変更。ADG333Aは変換基板を作る。
2.マイコンからの制御にAQV224Nを挟んでアイソレートする。
3.入力バッファのうちDAC側のカップリングコンデンサを外す(ショート)
4.アナログスイッチ出力についているカップリングコンデンサを外す(ショート)
5.外部入力のカップリングコンデンサを無極性電解コンデンサからフィルムコンデンサに変更
6.バッファ入力部の抵抗をDALE抵抗に変更
7.バッファオペアンプにパスコンがないので基板裏面に追加
8.レギュレータにパスコン追加
9.オペアンプをTHS4631に変更
10.電源のカップリングコンデンサをニチコンのオーディオ用に変更

基板表
基板裏
ADG333A変換基板
組み上がり(オペアンプはちょっとごついヒートシンク付き)
随分とごつくなってしまいました。
ネジがADG333Aを外さないと回せません(笑)
レギュレータは結局外さずそのままにしました。交換したオペアンプの電源電圧ぎりぎりですが・・・
DAC側のバッファもそのまま残しました。気が向いたらショートソケット作って差を見てみようと思います。

組み立てて繋いでみるとちゃんと切り替わります。
もっともアナログ入力はこれといって使い道がありませんが・・・じゃあ一体何のためにつけたんだと怒られそうです(笑)
音質的には入れても入れなくてもほとんど差は感じません。駄耳ですね。